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April 20, 2022

医薬ナノ粒子の作製のための3Dマイクロ流路

同軸積層型ミキサー
この同軸積層型ミキサーは、有機相と水相を効率よく混合しながら、有機相の流路壁面への接触を完全になくすことができます。同軸射出用ノズル、一連の伸張/折り曲げ素子、注入フィルタを含むこの独自のミキサーは、従来の2.5D微細造形では実現できませんが、3次元2光子重合法によりのみ実現可能です。画像:Peer Erfle、ブラウンシュヴァイク工科大学

マイクロ流体デバイスの革新的な混合・濾過機能により、医薬研究において新しい分野が開かれつつあります。特に、薬物を運ぶ脂質ナノ粒子の発見は、研究者の関心と興味を惹きつけています。マイクロ流体デバイスは、薬物キャリアとしての脂質ナノ粒子を極めて小さなサイズで精密に作製するための大きな利点を有しています。この分野で、独ブラウンシュヴァイク工科大学(TU)の研究チームは、Nanoscribeの高精細3Dプリンティング技術を用いて、独自のマイクロ流路チップを開発しました。このマイクロ流路チップは、精密な粒子径制御を行いながら単分散の薬物負荷ナノ粒子を製造するための革新的なミキサーを有しています。これは、新しいドラッグデリバリーコンセプトに役立ちます。

 

動画情報

注入ノズルを通り、2つの混合素子に沿った有機相の流線シミュレーション。色のついた流れは流速を表しています。シミュレーション:Peer Erfle, TU Braunschweig

製薬業界では、効果的で費用対効果の高いテーラーメイドドラッグの生産に大きな関心が向けられています。難溶性薬物を含む脂質ナノ粒子は、体内への吸収をより容易にする、あるいは消化管を迂回して送達することができる有力候補です。これは溶解速度がより速いことが必須条件です。しかし、脂質ナノ粒子を製造するための戦略はチャレンジングです。ナノ粒子の調製や、ナノ粒子への薬物キャリアの組み込みなど、いくつかの段階を踏まなければならないからです。

ナノ粒子の製造では、70nmから最大200nmまでの要求される範囲の狭い粒度分布を管理することが重要です。この目的のために、マイクロ流体システムは、バルク混合技術と比較して有利なアプローチを提供します。マイクロ流路は、極めて少量の液体の混合を正確に制御し、調整することができます。マイクロ流路における混合は、ナノ粒子の作製を可能にしますが、そのためにはナノ粒子の特性を調整し混合メカニズムを最適化するため、より効果的で複雑な混合素子を使用することが必要になります。2光子重合法(2PP)を用いることで、自由形状の3Dマイクロ流体素子が開発され、複雑なマイクロ流路チップに組み込まれました。この汎用性の高い3D微細造形を用いることは、粒度分布を狭くするニーズをターゲットにしています。

複雑なマイクロ流路チップの3Dプリンティング

ブラウンシュヴァイク工科大学の科学者たちは、単分散の薬物キャリアナノ粒子を作製するために、マイクロ流路の分野で画期的なアプローチを研究しました。彼らは、完全なマイクロ流路チップを3D造形するためにNanoscribeの2光子重合機能を使用しました。このチップは、同軸積層と安定したナノ粒子生成のために、独自のマイクロミキサー搭載で設計されました。センチメートル長の完全なマイクロ流路チップは、側方流路に接続したメインチャネル、同軸注入用ノズル、一連の3D混合素子、コンタミを減らすための注入フィルターで構成されています。この洗練されたチップデザインは、その小型性と高い表面品質により際立っています。例えば、メインチャネルの内径は200μmで、インレットフィルターの孔径は15μmです。伸張/折り畳み素子は、有機相と水相を混合するための複雑な3D構造を特徴としています。従来の2.5D微細造形やマイクロ射出成形による大量生産では、アンダーカット構造やオープンシリンダー範囲の成形が困難なため、このマイクロ流体システムの生産に失敗しました。

高精細3Dプリンティングによる高い再現性

3D造形したマイクロ流体システムは、定義されたサイズのナノ粒子を、可能な限り高い再現性で製造できるように設計されています。同一の設計が、3つの別々に製作されたマイクロシステムでテストされました。それらは、数ナノメートルの範囲でナノ粒子サイズの分散性に十分に小さな変動を示しています。この結果は、2PPベースの3Dプリンティングが、狭い粒度分布を持つ再現性の高いナノ粒子を製造できることを確かにするものです。今回の知見は、将来、ナノ粒子の並行生産を実現する上で、非常に重要です。

マイクロ流体素子が効率的な混合でファウリングを低減

選択されたマイクロ流体素子は、選択したマイクロ流体素子は、注入された有機物の流れを横方向に伸張、折りたたむ3次元構造になっています。これにより、流路を流れる有機相と水相の界面が大きくなり、2液の拡散と混合を加速します。同時に、有機相の伸張により流れの厚みが減少します。両方の効果で拡散時間が短縮されるため、混合速度が増加します。
噴射ノズルと同軸の混合素子による3Dの流れの集中により、有機相の流路壁への接触が回避されます。このように、3D造形したチップ内の素子は、ナノ粒子の再現性と連続的かつ並行的な製造の主なリスクであるコンタミネーションを防止します。

この研究プロジェクトの詳細については、こちらから全文をお読み頂けます: complete scientific publication on this unique coaxial lamination mixer here.

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