ライフサイエンス向けフォトレジスト
Nanoscribeの2光子重合(2PP)技術は、生体組織や細胞スケールにおいて高精細な微細造形を提供するため、3Dバイオプリンティングの分野で主要実用化技術となっています。この技術でライフサイエンスや生物学の分野で新たなイノベーションを起こすためには、2光子重合技術と互換性のあるバイオマテリアルが必要です。
当社のパートナーであるBIO INX社は、3Dバイオプリンティング材料を開発し、ポリマーとバイオマテリアルの分野で数十年にわたる学術的経験を有しています。同社のN100シリーズには、Nanoscribeの3D微細造形システムのために特別に最適化された、3つの先進的なライフサイエンス向けバイオプリンティング材料をラインナップしています。これら高品質なバイオマテリアル・フォトレジストは、組織工学や再生医療を、臨床診療へ一歩近づけるものです。
Dr. Alexander Quick(Nanoscribe マテリアル開発・生産部門責任者)
Hydrobio Inx N100は、最初の実験で完璧に機能し、造形物上で培養された細胞はこれを自然な環境として受け入れました。
ユーザーのアプリケーションを実現
Hydrobio Inx N100は、天然ゼラチンをベースとしたハイドロゲルで、細胞間相互作用材料の最高精細光造形用に設計されています。この材料は天然のコラーゲンに由来しており、天然の細胞外マトリックスの模倣に利用できます。Hydrobioは生分解性ハイドロゲルであるため、付着した生体細胞は時間の経過とともに環境を再構築し、新たに形成された組織と置き換えます。
利点
- 生体適合性:細胞の接着と増殖をサポート
- 生分解性:造形したマトリックスの細胞リモデリングが可能
- 取り扱いが容易:濃縮ストック液、希釈バッファ、架橋剤を含む直ぐにお使い頂けるキットで提供。細胞の有無にかかわらず10回分の造形が可能。
- すぐ使える:10分以内で造形準備完了
- 安定性:4 - 8℃で3ヵ月以上
アプリケーション例
- 天然の細胞外マトリックスに類似した軟組織の組織工学
- 眼:角膜内皮細胞の配列
- 脳:生体機能チップ開発のための膠芽腫細胞の培養
- 血管:ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECS)の培養
- 骨:骨芽細胞/骨肉腫の培養
- 胸:脂肪組織由来の幹細胞の培養
Degrad Inx N 100は、生分解性ポリエステルベース樹脂で、組織工学のための複雑な3D構造造形用に設計されています。このバイオマテリアルは非常に柔軟性が高く、2PPアプリケーション用の生分解性フォトレジストとしては初の市販品です。Degrad Inx N 100は、生物学的に不活性ですが、細胞の接着と増殖のためのコーティングができます。
利点
- 生体適合性:優れた生体適合性(ISO 10993-5)と無細胞毒性
- 生分解性:水や生体液と接触して長期的(3~5年)に分解可能
- 加工性:変形を最小限に抑えた、オープンで複雑な構造を簡単に造形
- 高分解能:生分解性材料として最高の分解能を実現(<500nm)
- 柔軟性:強靭でありながら柔軟な構造を形成でき、取り扱いや加工が容易
アプリケーション例
- 高い機械的安定性と柔軟性を備えたバイオマテリアルを必要とする組織工学やライフサイエンスのアプリケーション
- 骨と軟骨の再生
- 結合組織:線維芽細胞に対する無細胞毒性
| Hydrobio INX N100 | Degrad INX N100 |
素材 | 天然ハイドロゲル | ポリエステル |
生分解性 | 有り | 有り |
造形可能サイズ | ≥ 1 µm | ≤ 1 µm |
機械的特性 | 貯蔵弾性率 G’ = 4 – 26 kPa | ヤング率 E = 50 – 60 MPa |
膨張(体積) | 50 – 250 % | n./a. |
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