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February 24, 2022

細菌のラベルフリー検出のためにファイバー上に造形したセンサー

金でコーティングした光ファイバーSERSプローブ
金でコーティングした光ファイバーSERSプローブ。プローブの緑色は、微細構造した表面の回折現象です。Image: J. A. Kim, Imperial College London

世界保健機関(WHO)によると、抗生物質耐性は今や世界の健康、食の安全、発展に対する最大の脅威の一つとなっています。この細菌の免疫は自然な進化の過程であり、それが抗生物質治療の誤用によってさらに加速されています。感染症のより正確な治療のためには、感染部位のin-situ特性評価が理想的であり、それにより病原体に対する特異的な治療が可能になります。その点を念頭に、インペリアルカレッジロンドンの研究者たちは、Nanoscribeの微細加工技術を用いて、細菌のラベルフリー識別のための新しい光ファイバーラマン分光センサーを開発しました。

抗生物質の発明は、確かに近代医学の大きな進歩の一つであり、結核や肺炎などの感染症に対する多くの人々の恐怖心を和らげました。しかし、医学と生物学の専門家の間では、細菌感染との闘いが再び注目されつつあります。抗生物質の多用や誤用により、細菌が治療に対して耐性を持つようになり、軽度の感染症でも再び生命を脅かす可能性が出てきました。そのため、抗生物質はそれぞれの病気のパターンに合わせて、必要時のみ投与する必要があります。

光ファイバーSERSプローブによる細菌のin situ特性評価

インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者たちは、細菌のラベルフリー検出と特性評価のための光ファイバーセンサーを開発することにより、この世界的な課題に貢献しています。表面増強ラマン散乱(SERS)に基づくこの小型光ファイバーセンサーは、この種のものとしては初めてで、医療用内視鏡に組み込み、炎症性組織のin-situ分析に利用できる可能性があります。ラマン分光法は、有機および生体サンプルのパワフルな分析技術であり、細菌などのサンプルをその個々の光フィンガープリントに基づく特性評価ができます。ラマン散乱の本質的に弱い性質は、サンプルと相互作用するシグナルホットスポットを形成する金属化されたマイクロ・ナノ構造の表面により強化されます。今回の研究では、2光子重合法(2PP)を用いて光ファイバーのファセット上にマイクロ・ナノ構造を3D造形し、金の薄膜でコーティングしました。SERS測定では、レーザー光を光ファイバーに結合させ、ファイバープローブのナノ構造表面のシグナルホットスポットを励起します。分析対象物との相互作用によりSERS信号が生成され、光ファイバーで回収されます。

短縮した設計調整の反復サイクルによるラピッドプロトタイピング

最初の設計研究では、Nanoscibe社の2PP技術を用いて、平面ガラス基板に造形したあらゆるマイクロ・ナノパターンのSERS効果を分析しました。六角形に配置したシングルヴォクセルアレイが、最も効率的なサンプルであることが証明されました。設計調整の反復を迅速に繰り返すことで、研究者たちはアレイの個々のヴォクセル間の間隔をさらに最適化し、わずか400nmという驚くほど微細な間隔を持つサンプルを作製しました。これはチャレンジングですが、実際には2PPベースの微細加工で実現可能です。

SERS測定に有効であることが証明された第2のデザインは、シグナルホットスポットを頂点に誘導・集中させるマイクロスパイク・アレイです。特にファイバ上に造形したこのデザインは、シングルヴォクセル・アレイと比較して機械的安定性が向上し、さらには大腸菌の検出のために吟味されました。

最終的な光ファイバーSERSプローブは、研究者たちは最適化した微細構造をファイバーのファセット上に直接造形し、非標識大腸菌を検出することで分析能力を実証しました。

ファイバ上へのプリンティングにおける傾き補正・アライメントのためのNanoscribeソリューション

ファイバ上へのSERSプローブの造形のために、研究者たちは製作におけるいくつかの課題を克服しなければなりませんでした。最初に、ファイバーのファセット上に造形できるよう、カスタムのファイバーホルダーを設計しました。次に、微細加工したラマンホットスポットを励起するために、造形物は光ファイバーのコアに完全アライメントされなければなりません。特にシングルヴォクセル・アレイのようなフィリグリー構造では、基板表面が傾く可能性があるため、その補正が課題として残されています。光ファイバーの基板表面が傾いていると、SERS活性微細構造の歩留まりが悪くなります。

例えば、興味深い光ファイバーSERSプローブなど、医療機器や光センシングにおけるフォトニクスとアプリケーションのイノベーションを推進するため、Nanoscribeは最新の3DプリンタであるQuantum X alignを先日発表しました。独自のオンファイバー・プリントセットと、全空間方向の傾き補正機能を備えたこの新しい3Dプリンタは、ファイバ上に造形したSERSプローブの課題に対する答えをすでに提供し、さらなる改良と新しいイノベーションへの道を開くでしょう。

学術論文の全文はこちらからお読みください:Fiber-Optic SERS Probes Fabricated Using Two-Photon Polymerization For Rapid Detection of Bacteria

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ファイバー型SERSプローブの模式図
ファイバー型SERSプローブの模式図。レーザー光は光ファイバーに結合され、ファイバープローブのナノ構造表面上のシグナルホットスポットを励起します。分析対象物との相互作用により、増強したラマン信号(SERS信号)が生成され、光ファイバーによって回収されます。Image: J. A. Kim, Imperial College London
シングルヴォクセル・アレイの設計を最適化するための研究
シングルヴォクセル・アレイの設計を最適化するための研究。ヴォクセル間隔を変化させ、SERS信号への影響を解析します。この研究で400nmという驚異的な微小間隔での解像が可能になりました。しかし、最大SERS信号は700 nmの間隔で確認されました。Image: J. A. Kim, Imperial College London
細菌検出を行う表面増強ラマン分光法の原理を用いた光センサーの光ファイバー上に直接造形した微細構造
表面増強ラマン分光法の原理を用いた細菌検出用光センサーの光ファイバーに直接造形した微細構造。Image: J. A. Kim, Imperial College London
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